社会保険・労働保険
▼社会保険・労働保険について
社会保険・労働保険というと、具体的には次のようなものを指します。
- 健康保険・厚生年金保険
- 雇用保険
- 労働者災害補償保険(労災)
これらは、正社員を雇っている場合、原則として必ず加入しなければならないものとなります。
(それぞれに細かい適用要件があり、該当しない場合には加入不要です)
なお、手続きには2段階あります。
まず、その事業所として、従業員を社会保険や雇用保険に加入させている事業所(適用事業所)となるための手続き。
これは、基本的には、事業所毎に1回だけ行えばよい手続きです。
次に、従業員の一人一人を社会保険や雇用保険に加入させたり、退職時に脱退させたりするための、資格取得・喪失等手続きです。
これは、従業員に異動等(入社、退職、扶養家族の増減、育児休暇取得、傷病などいろいろあります)があった場合に、その都度行わなければいけないものです。
また、雇用保険と労災保険は従業員のみが対象となりますが、法人の場合、社会保険は役員も対象となります。
▼社会保険について
社会保険は、健康保険と厚生年金保険がありますが、これらはセットで加入・喪失するものです。
原則として、どちらかのみという取り扱いはできません。(多少の例外はあります)
正社員は、もともと「社会保険完備」なイメージがありますが、パートさんの場合の取り扱いが問題になることが多いです。
よく、「旦那さんの扶養に入りたいから社会保険は加入したくないと本人が言っていたので・・・」という声をききますが、本当は社会保険はこのように本人の意思で選択できるものではないんです。
本当は、その従業員さんの1週間の所定労働時間が「正社員の1週間の所定労働時間の4分の3以上」だった場合には、そのまま適用となり、加入させなければいけません。
この場合のペナルティは、従業員本人ではなく、「加入させるべきなのに加入させなかった」事業所の方にあるとされます。
もし、どうしても従業員本人が加入したくないようであれば、雇用契約時に、1週間の所定労働時間を正社員の4分の3未満にする必要があります。
健康保険も厚生年金保険も両方、いわゆる被雇用者が加入するものですが、自営業者が一般的に加入する国民健康保険や国民年金よりも内容が充実しています。
事業主様としては、やはり毎月の社会保険の事業主負担分はずっしりと重いものだと思いますが、一方の従業員側から見ると、やはり国民健康保険や国民年金のままでいるよりは、社会保険に加入する方が、安心がずっと増します。
健康保険だと、一般的には「病院に行って自己負担3割」のイメージが強いですが、そのほかにも様々な給付があります。
例えば、もし怪我や病気で働けなくなった場合、「傷病手当金」といって、一定期間、給与の3分の2程度の給付を健康保険から受けることができます。
厚生年金保険も、一般的なイメージは「老後の年金」ですが、その年金も国民年金のみよりはずっと多くもらえますし、それ以外の給付である「障害厚生年金」「遺族厚生年金」も、それぞれ「障害基礎年金」「遺族基礎年金」(国民年金の給付)よりは内容がかなり充実しています。
このように、社会保険は、文字どおり、一番基本的な「福利厚生」となります。
(なお、この記述により、国民健康保険・国民年金には加入しない方がよいと言っている訳ではありません。
もちろん、自営業者その他の人は、これらに加入しましょう。
特に国民年金はその納付率の悪化が問題となっていますが、国民年金保険料はきちんと支払っておくべきであると考えます。その理由は国民年金についてをご覧ください。)
▼雇用保険について
雇用保険は、社会保険よりは事業所の負担も少なく、またパート従業員にもより広く適用されるため、変な言い方ですが、事業主様にとっては敷居の低いものではないかと思います。
(パート従業員であっても、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、加入対象となります。)
別の言い方をすれば、従業員さん側でも「会社を辞めれば失業保険がもらえる」と知っている人が多いため、万が一未加入だった場合に問題となることが多く、結局は2年間遡及して加入する・・・という結果になることがほとんどです。
また、例えば雇用関係の助成金を受ける際に、雇用保険に適正に加入しているかというのは、必ずと言っていいほど要件に入っています。
もちろん、雇用保険加入はそもそも事業主の義務なのですが、それを横においておいても、加入しなかった場合のメリット(コスト削減効果)とデメリットを比較すると、後者の方が圧倒的に大きいと言えます。
社会保険と併せて、雇用保険も、法定どおりの適用に努めましょう。
▼労災保険について
労災保険は、もちろん従業員のための補償なのですが、同時に事業主様のための補償でもあります。
どういうことかというと、労災保険は、文字どおり「労災=労働災害」についての補償ですが、労働災害というのは、つまり「事業場における事故」が原因となるものです。要するに、業務上の怪我や病気ということです。
そして、業務上の負傷や疾病については、事業主が責任を負う義務がある旨が、労働基準法に定められています。
この、労働基準法上の義務を(事業主自身の自助努力だけでは義務の履行が難しいと考えられるので)、保険制度にしたものが労災保険となります。
もし従業員が仕事中に怪我をしたとき、軽いものならばまだ不幸中の幸いですが、障害が残るような深刻な怪我だった場合、何の保険にも加入していないままで充分な補償を行うのは、著しく困難です。
労災保険料は、上のような意味もあって全額会社負担ですが、もともと負担自体はそれほど大きくありません。
従業員を一人でも雇い入れた場合には、たとえ週に2日くらいのパートさんが一人だけであっても、忘れずに遅滞なく加入しておきましょう。
なお、民間の保険会社が提供する「労災の上乗せ保険」というものもあります。
これは、上乗せとして内容を充実するためには有効だと思いますが、あくまで「上乗せ」であって「代替」とはなり得ません。
民間保険に加入したから労災保険はいらない、と安易に判断しないようにしましょう。
▼労働保険について
「労働保険」というと、若干耳慣れない言葉かもしれませんが、簡単に言えば、雇用保険と労災保険の二つを言います。
雇用保険と労災保険は、保険料を納付するときに一緒に計算するのですが、このとき計算する保険料を「労働保険料」と言います。
ですので、「労働保険」というひとつの保険がある訳ではありません。
▼社会保険・労働保険の手続きについて
上で「労働保険料」の計算について書きましたが、
社会保険も労働保険も、その保険料の計算に際しては、従業員に支払う給与・賞与(または役員報酬)の金額をもとに計算されます。
逆に、毎月の給与計算の際にも、上の計算を基にした従業員負担分をきちんと計算して控除しなければいけません。
ですので、社会保険・労働保険手続は、給与計算業務と併せてご依頼いただくと、事業主様のご負担を大きく軽減させることができますし、こちらでも作業が大幅に合理化されますので、給与計算業務報酬に多少のプラスアルファ(または給与計算業務報酬に込み)で請負うことができます。
もちろん、事業主様が、給与計算・社会保険労働保険手続ともにご自分でされるということでしたら、それは充分可能です。
ただ、かなり作業時間をとる類の業務となりますし、次のような特徴もあります。
- 法改正が頻繁である。
- 保険料はほぼ毎年改定される。
- 毎年必ず行わなければいけない手続きがある。(労働保険料年度更新、算定基礎届、賞与支払届等)
- 随時行わなければいけない手続きがあるが、そういう手続きがあると知っていなければわからないものが多い。
- 毎月の給与や賞与をベースにする手続きが多く、集計が煩雑。
ですので、もしその手続き業務にかかる時間が機会損失だと思われましたら、一度プロにご依頼いただくことをご検討ください。
事業主様に本業に専念していただくことで、報酬コストを上回るメリットを得ていただく場合も多いのではないかと思います。
(詳細はこちらもどうぞ)


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